PMDG737NGX キャプテンのプレフライト・フロー

このページでは、キャプテンのプレフライト・フローを実施します。

「LIGHT」スイッチを「TEST」にし、コックピットを見渡して全てのライトが動作していることを確認します。確認後、スイッチを「BRT」の位置に戻します。このスイッチを「BRT」にすると、オーバーヘッドパネルの全てのライトとキャプテン・ファーストオフィサーパネルのいくつかのライトを最大輝度に設定します。

LIGHT TEST Switch

キャプテンの「EFIS Control Panel」の設定を行っていきます。

EFIS CONTROL PANEL

「Engine Out Acceleration Height」を、PFDのスピードテープ上に表示する設定を行います。「Engine Out Acceleration Height」とは、離陸中にEngine Outした場合に加速を開始する速度で、デフォルトは「800AGL」(エアポート・グラウンド・レベルを基準にして800フィート)となっています。離陸に使用するRW34Rのフィールド・エレベーションは滑走路端で20feetですので、「820feet」をスピードテープに表示させます。
最初に「MINS」セレクターの外側のセレクターを「BARO」にセットします。

MINS BARO

BARO」は「気圧高度計(Barometric altimeter)」のことです。

この次の操作で「Engine Out Acceleration Height」をセットする作業を実施しますが、そのソース(高度情報のデータ元)を「気圧高度計(Barometric altimeter)」とする設定を行いました。もう一つ選択肢である「RADIO」は電波高度計です。

「MINS」セレクターの内側のロータリー・スイッチを回して、「820feet」にセットします。

Setting Min Moving Speed Tape

SET 820 EO ACCEL HT

もし、V2+20ノットに達する前にエンジンが故障した場合、その時の速度を維持してEO ACCEL HTまで上昇後、ピッチを下げて加速を開始します。V2+20ノットに達した後の場合は、V2+20ノットを維持したまま、EO ACCEL HTまで上昇します。

「MINS」セレクターの右にある「FPV」(Flight Path Vector)スイッチと、「MTRS」(Meters)スイッチは、今回は使用しませんので無視します。

PMDG737NGX付属マニュアル「Tutorial-2.pdf」では、次の手順として、気圧高度計の表示を「IN」(インチ)から「HPA」(ヘクトパスカル)に切り替える操作を行っています。しかし、日本の空港で放送している「ATIS」の高度計規正値は、「インチ」ですので、変更せずに「インチ」のままにします。

BARO IN

下のキャプチャー通り、PDFには現在標準大気圧がインチで表示されています(29.92インチ)。

PFD BARO INCH

左側の「NAVID POINTER SWITCH」を「VOR 1」にセットします。右側のスイッチを「VOR 2」にセットします。

SET NAVID Pointer Switch

NDの左下と右下に、それぞれのVORの名称と、DMEの情報が表示されます。

ND VOR DME Information

MCPのCOURSE設定に対応した各VORのラジアルも点線で表示されます。現在MCPのCOURSE設定は、キャプテン側もファースト・オフィサー側も「000」になっていますので、各ラジアル・ラインは「0度-180度」となっています。

VOR RADIAL LINE

NDが「MAP」モードになっていることを確認します。

ND MAP MODE

NDの「RANGE」が「10nm」になっていることを確認します。

SET ND Range

「TFC」ボタンをPUSHします。TCASの情報が表示されます。

PUSH TFC Button

しかし、この段階ではTCASはOFFになっていますので、近くに航空機がいても表示はされません。

ND AFTER TFC PUSH
「TCAS」とは?

TCASは「Traffic alert and Collision Avoidance System」の略で「空中衝突防止装置」というシステムです。

TCASは、他の航空機に搭載されたTCASと自動で通信を行い、お互いに空中衝突の可能性があるかチェックします。

万が一、空中衝突の危険がある場合は「どちらかが上昇し、どちらかか下降する」等の決定をお互いのTCASが行い、パイロットに「上昇せよ」「下降せよ」等を指示します。

つまり、地上からの航空管制の指示に頼らず、空中衝突を防止することができるシステムです。

もし、航空管制からの指示とTCASからの指示が矛盾する場合は、パイロットはTCASからの指示を優先しなければなりません。

TCASは、離陸の直前に有効化します。

次に「MCP」(Mode Control Panel)の設定をしていきます。
キャプテン側の「COURSE」(VOR 1)に「055」をセットし、ファースト・オフィサー側の「COURSE」(VOR 2)に、「020」をセットします。

SET MCP COURSE

NDのVORラジアルも変わります。この表示は離陸中のチェックに利用する予定です。

ND VOR RADIAL

キャプテンと、ファースト・オフィサーの「F/D」(Flight Director)スイッチを「ON」にします。このとき、キャプテン側のスイッチの上の「MA」ライトが緑色に点灯していることを確認してください。キャプテン側のFDがMASTERであることを意味しています。両方の「F/D」を「ON」にしておかないと、後ほどオート・パイロットが入りません。

Flight Director Switches

「BANK ANGLE SELECTOR」を「25」度のポジションにセットします。一番右に回した後、一回左に回せば25度です。この設定は、オート・パイロットが「HDG SEL」モードの時だけ有効になります。

BANK ANGLE SELECTOR

オート・パイロットの「DISENGAGE」バーが「UP」になっていることを確認します。オートパイロットで飛行中、緊急に手動操縦に切り替えたい時は、このバーを下に下げます。

DISENGAGE BAR

次に、クルー用酸素システムのテストを行います。バーチャル・コックピットで、キャプテンシートの左下を見てください。
「PRESS TO TEST AND RESET」と表示されている「テスト・フラップ」をPUSHして、空気が流れる音を確認します。また、その上のゴム製のインジケータに「X」印が表示されることを確認してください。

CREW OXYGEN TEST

「EMERGENCY/TEST」スイッチをPUSHした後、再び「テスト・フラップ」をPUSHして、空気が流れる音を確認し、インジケータに「X」印が表示されることを確認してください。

CREW OXYGEN TEST2

PFDの左側にあるChronometer(精密時計)と、FMCの「POS INIT」ページに表示されている時刻が同じであることを確認します。PMDG737NGXではChronometerがFMCの時刻に従うように同期されていますが、NG以前のモデルでは独立しています。

Check Chronometer

Chronometerの下にある「NOSE WHEEL STEERING」スイッチがガードされていることを確認します。ガードが閉じていると、スイッチは「NORMAL」ポジションにあり、「A系油圧システム」を使用してノーズ・ホイールを動かします。スイッチを「ALT」にすると「B系油圧システム」で動作するよう切り替わります。

NOSE WHEEL STEERING Switch

「MAIN PANEL DUs」セレクターと「LOWER DU」セレクターが、「NORM」ポジションにあることを確認します。

DU SELECTOR

「A/P」「A/T」「FMC」ディスエンゲージライトのテストを行います。テストスイッチを右クリックして「1」のポジションにし、「A/P」「A/T」「FMC」ライトがアンバー色に点灯することを確認します。

Test Disengage Lights 1

テストスイッチを左クリックして「2」のポジションにし、「A/P」「A/T」ライトが赤色に点灯すること、「FMC」ライトがアンバー色に点灯することを確認します。

Test Disengage Lights 2

「A/P」「A/T」スイッチは、それぞれオートパイロット、オートスロットルがディスエンゲージされた時に赤く点滅します。他にも赤く点灯したりアンバー色に点滅したりすることもありますが、詳しい解説は省略します。「FMC」ライトは、FMCにアラートメッセージが表示された時にアンバー色に点灯します。PUSHすると、ライトは消灯します。

「STAB OUT OF TRIM」ライトが消灯していることを確認します。「STAB OUT OF TRIM」ライトは、オートパイロットがエンゲージされている場合に動作するライトです。オートパイロットがスタビライザーを適切にトリミングできない時にアンバー色に点灯し、オートパイロットまたはスタビライザーに問題があることを示します。

STAB OUT OF TRIM Light

NDに表示されているアンバー色のメッセージは「TCAS OFF」のみであることを確認します。(他にもいろいろなメッセージがアンバー色で表示されることがあります。)

ND TCAS OFF Message

PFDのFMA(Flight Mode Annunciator)の確認をします。FMAは下のキャプチャーで黄色の枠で囲んである領域で、オートパイロットのモードなどが表示される重要な部分です。

PFD FMA

以下を確認してください。

  • 「A/T Engaged Mode」(①の部分)に何も表示されていないこと。
  • 「Roll Engaged Mode」(②の部分)に何も表示されていないこと。
  • 「Pitch Engaged Mode」(③の部分)に何も表示されていないこと。
  • 「Autopilot Status」(矢印の部分)に「FD」と表示されていること。

次に「ISFD」(Integrated Standby Flight Display)の確認を行います。ISFDは、予備のフライト・ディスプレイで、アナログ計器に代わって2003年頃より搭載されたものです。
アプローチ・モードに何も表示されていないことを確認します。ここには、すぐ上の「APP」スイッチで選択されたアプローチモードが表示されます(試にスイッチを何回かPUSHしてみてください)。

ISFD Approach Mode

その右側に、気圧高度計規正値が正しく表示されていることを確認します。すぐ上の「HPA/IN」スイッチで、ヘクトパスカルとインチ表示を切り替えられます。また、エラー・フラグが表示されていないことを確認します(何かエラーがあると、アンバー色でフラグが表示されます)。

ISFD HPA INCH

次に、ISFDの下にある「Standby RMI」の確認を行います。

Standby Radio Magnetic Indicator
  • 点線の矢印…VOR1/ADF1
  • 実線の矢印…VOR2(※PMDG737NGXにはADF2は搭載されていません)
  • 左下の水滴型のスイッチ…No.1ポインター・セレクター。 VOR1とADF1を切り替えます。
  • 右下の水滴型のスイッチ…No.2ポインター・セレクター。 VOR2とADF2を切り替えるスイッチですが、ADF2は無効です。

PMDG737NGXの付属マニュアル「Tutorial-2.pdf」には、『No.1、No.2の両ポインター・セレクターを「ADF」に切り替える』と書いてあるのですが、このチュートリアルではVORのままにしておきます。理由は、PMDG737NGXはシングルADFなので、ADF-2は動作していないからです。試しにNo.2セレクターを「ADF」に切り替えると、オレンジ色のワーニング・フラグが表示されます。「Tutorial-2.pdf」でもADF-2のチューニング操作は実施していませんので、上記の切替指示はちょっと意味不明です。

次にペデスタルの確認を進めていきます。
スピードブレーキレバーが、「DOWN DETENT」のポジションにあることを確認します。

SPEED BRAKE DOWN DETENT

キャプテン側のフォワード・パネルにある、「SPEED BRAKE ARMED」ライト、「SPEED BRAKE DO NOT ARM」ライトが消灯していることを確認します。

SPEED BRAKE ARMED, SPEED BRAKE DO NOT ARM Light

ファースト・オフィサー側のフォワード・パネルにある、「SPEEDBRAKES EXTENDED」ライトが消灯していることを確認します。

SPEEDBRAKES EXTENDED Light

リバース・スラスト・レバーが「DOWN STOWED」ポジションにあることを確認します。一番下に押し込まれていればOKです。

REVERSE THRUST LEVERS

メイン・スラスト・レバーが「CLOSED」であることを確認します。(「F1」キーをPUSHして、フル・バックに戻します)

フラップレバーとインジケーターが「UP」であることを確認します。

FLAP LEVER
FLAP Indicator

パーキング・ブレーキ・レバーを引いて、パーキング・ブレーキをセットします。ライトが点灯することを確認します。

SET Parking Brake

現在、航空機のタイヤには「チョーク」がセットされている状態です。

CHOCKS

FMCを操作して、チョークを外します。
【MENU】→【FS ACTIONS】→【GROUND CONNECTIONS】→【LSK 1L】をPUSHして、「WHEEL CHOCKS」を「REMOVED」にします。

FMC WHEEL CHOCKES

チョークが外れました。

WHEEL CHOCKS Removed

FMCの画面は「TAKEOFF REF」の1ページ目に戻しておいてください。

エンジンスタートレバーが「CUT OFF」(DOWNポジション)にあることを確認します。

Check Engine Start Lever

フラップレバーの下にあるスタビライザー・トリム・カットアウト・スイッチが「NORMAL」ポジションにあることを確認します。(スイッチにはガードがされており、ガードを外すとCUT OUTできます。)

STAB TRIM CUTOUT Switches

次に、HGSの設定を行います。
左側の窓枠にある隠しスポットをクリックして、HGSを下げます。

HGS Hidden Switch

これからセットするのは、離陸後、引き返すことになった場合の着陸用データです。RW34Lのデータをセットしておきます。HGSのコントローラーはペデスタルにありますので、【Shift】 + 【4】でペデスタルを表示してください。

【RWY】ボタンをPUSHして、RW34Lの長さである「9843」(フィート)を入力します。

HGS Set Runway Length

再度【RWY】ボタンをPUSHして、RW34Lのフィールドレベル「18」(フィート)を入力します。

HGS Set Runway Elevation

【ENTER】キーをPUSHします。

HGS PRESS ENTER

GS(グライドスロープ)に「-3.00」度がセットされていることを確認します。

HGS GS

MODEが「PRI」になっていることを確認します。「PRI」モードは、PFD/NDと同様、HGSの表示はフライト・ディレクターによって制御されるモードです。その他に「AIII」モード、「IMC」モード、「VMC」モードの選択があり、下ではSTANDBYに「IMC」モードが設定されています。それぞれのモードの解説は割愛します。

HGS PRI MODE

タキンシグに備え、【CLR】ボタンをPUSHして、HGSの表示を消します。

HGS CLR MODE

「PREFLIGHT CHECKLIST」を実行します。

PREFLIGHT

Oxygen : Tested, 100%

Navigation transfer and display switches : NORMAL, AUTO

Window heat : ON

Pressurization mode selector : AUTO

Flight instruments : Heading    , Altimeter    

Parking brake : Set

Engine start levers : CUTOFF

以上で「キャプテンのプレフライト・フロー」は完了です。