このページでは、キャプテンのプレフライト・フローを実施します。
「LIGHT」スイッチを「TEST」にし、コックピットを見渡して全てのライトが動作していることを確認します。確認後、スイッチを「BRT」の位置に戻します。このスイッチを「BRT」にすると、オーバーヘッドパネルの全てのライトとキャプテン・ファーストオフィサーパネルのいくつかのライトを最大輝度に設定します。

キャプテンの「EFIS Control Panel」の設定を行っていきます。

「Engine Out Acceleration Height」を、PFDのスピードテープ上に表示する設定を行います。「Engine Out Acceleration Height」とは、離陸中にEngine Outした場合に加速を開始する速度で、デフォルトは「800AGL」(エアポート・グラウンド・レベルを基準にして800フィート)となっています。離陸に使用するRW34Rのフィールド・エレベーションは滑走路端で20feetですので、「820feet」をスピードテープに表示させます。
最初に「MINS」セレクターの外側のセレクターを「BARO」にセットします。

BARO」は「気圧高度計(Barometric altimeter)」のことです。
この次の操作で「Engine Out Acceleration Height」をセットする作業を実施しますが、そのソース(高度情報のデータ元)を「気圧高度計(Barometric altimeter)」とする設定を行いました。もう一つ選択肢である「RADIO」は電波高度計です。
「MINS」セレクターの内側のロータリー・スイッチを回して、「820feet」にセットします。

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もし、V2+20ノットに達する前にエンジンが故障した場合、その時の速度を維持してEO ACCEL HTまで上昇後、ピッチを下げて加速を開始します。V2+20ノットに達した後の場合は、V2+20ノットを維持したまま、EO ACCEL HTまで上昇します。
「MINS」セレクターの右にある「FPV」(Flight Path Vector)スイッチと、「MTRS」(Meters)スイッチは、今回は使用しませんので無視します。
PMDG737NGX付属マニュアル「Tutorial-2.pdf」では、次の手順として、気圧高度計の表示を「IN」(インチ)から「HPA」(ヘクトパスカル)に切り替える操作を行っています。しかし、日本の空港で放送している「ATIS」の高度計規正値は、「インチ」ですので、変更せずに「インチ」のままにします。

下のキャプチャー通り、PDFには現在標準大気圧がインチで表示されています(29.92インチ)。

左側の「NAVID POINTER SWITCH」を「VOR 1」にセットします。右側のスイッチを「VOR 2」にセットします。

NDの左下と右下に、それぞれのVORの名称と、DMEの情報が表示されます。

MCPのCOURSE設定に対応した各VORのラジアルも点線で表示されます。現在MCPのCOURSE設定は、キャプテン側もファースト・オフィサー側も「000」になっていますので、各ラジアル・ラインは「0度-180度」となっています。

NDが「MAP」モードになっていることを確認します。

NDの「RANGE」が「10nm」になっていることを確認します。

「TFC」ボタンをPUSHします。TCASの情報が表示されます。

しかし、この段階ではTCASはOFFになっていますので、近くに航空機がいても表示はされません。

次に「MCP」(Mode Control Panel)の設定をしていきます。
キャプテン側の「COURSE」(VOR 1)に「055」をセットし、ファースト・オフィサー側の「COURSE」(VOR 2)に、「020」をセットします。

NDのVORラジアルも変わります。この表示は離陸中のチェックに利用する予定です。

キャプテンと、ファースト・オフィサーの「F/D」(Flight Director)スイッチを「ON」にします。このとき、キャプテン側のスイッチの上の「MA」ライトが緑色に点灯していることを確認してください。キャプテン側のFDがMASTERであることを意味しています。両方の「F/D」を「ON」にしておかないと、後ほどオート・パイロットが入りません。

「BANK ANGLE SELECTOR」を「25」度のポジションにセットします。一番右に回した後、一回左に回せば25度です。この設定は、オート・パイロットが「HDG SEL」モードの時だけ有効になります。

オート・パイロットの「DISENGAGE」バーが「UP」になっていることを確認します。オートパイロットで飛行中、緊急に手動操縦に切り替えたい時は、このバーを下に下げます。

次に、クルー用酸素システムのテストを行います。バーチャル・コックピットで、キャプテンシートの左下を見てください。
「PRESS TO TEST AND RESET」と表示されている「テスト・フラップ」をPUSHして、空気が流れる音を確認します。また、その上のゴム製のインジケータに「X」印が表示されることを確認してください。

「EMERGENCY/TEST」スイッチをPUSHした後、再び「テスト・フラップ」をPUSHして、空気が流れる音を確認し、インジケータに「X」印が表示されることを確認してください。

PFDの左側にあるChronometer(精密時計)と、FMCの「POS INIT」ページに表示されている時刻が同じであることを確認します。PMDG737NGXではChronometerがFMCの時刻に従うように同期されていますが、NG以前のモデルでは独立しています。

Chronometerの下にある「NOSE WHEEL STEERING」スイッチがガードされていることを確認します。ガードが閉じていると、スイッチは「NORMAL」ポジションにあり、「A系油圧システム」を使用してノーズ・ホイールを動かします。スイッチを「ALT」にすると「B系油圧システム」で動作するよう切り替わります。

「MAIN PANEL DUs」セレクターと「LOWER DU」セレクターが、「NORM」ポジションにあることを確認します。

「A/P」「A/T」「FMC」ディスエンゲージライトのテストを行います。テストスイッチを右クリックして「1」のポジションにし、「A/P」「A/T」「FMC」ライトがアンバー色に点灯することを確認します。

テストスイッチを左クリックして「2」のポジションにし、「A/P」「A/T」ライトが赤色に点灯すること、「FMC」ライトがアンバー色に点灯することを確認します。

「A/P」「A/T」スイッチは、それぞれオートパイロット、オートスロットルがディスエンゲージされた時に赤く点滅します。他にも赤く点灯したりアンバー色に点滅したりすることもありますが、詳しい解説は省略します。「FMC」ライトは、FMCにアラートメッセージが表示された時にアンバー色に点灯します。PUSHすると、ライトは消灯します。
「STAB OUT OF TRIM」ライトが消灯していることを確認します。「STAB OUT OF TRIM」ライトは、オートパイロットがエンゲージされている場合に動作するライトです。オートパイロットがスタビライザーを適切にトリミングできない時にアンバー色に点灯し、オートパイロットまたはスタビライザーに問題があることを示します。

NDに表示されているアンバー色のメッセージは「TCAS OFF」のみであることを確認します。(他にもいろいろなメッセージがアンバー色で表示されることがあります。)

PFDのFMA(Flight Mode Annunciator)の確認をします。FMAは下のキャプチャーで黄色の枠で囲んである領域で、オートパイロットのモードなどが表示される重要な部分です。

以下を確認してください。
- 「A/T Engaged Mode」(①の部分)に何も表示されていないこと。
- 「Roll Engaged Mode」(②の部分)に何も表示されていないこと。
- 「Pitch Engaged Mode」(③の部分)に何も表示されていないこと。
- 「Autopilot Status」(矢印の部分)に「FD」と表示されていること。
次に「ISFD」(Integrated Standby Flight Display)の確認を行います。ISFDは、予備のフライト・ディスプレイで、アナログ計器に代わって2003年頃より搭載されたものです。
アプローチ・モードに何も表示されていないことを確認します。ここには、すぐ上の「APP」スイッチで選択されたアプローチモードが表示されます(試にスイッチを何回かPUSHしてみてください)。

その右側に、気圧高度計規正値が正しく表示されていることを確認します。すぐ上の「HPA/IN」スイッチで、ヘクトパスカルとインチ表示を切り替えられます。また、エラー・フラグが表示されていないことを確認します(何かエラーがあると、アンバー色でフラグが表示されます)。

次に、ISFDの下にある「Standby RMI」の確認を行います。

- 点線の矢印…VOR1/ADF1
- 実線の矢印…VOR2(※PMDG737NGXにはADF2は搭載されていません)
- 左下の水滴型のスイッチ…No.1ポインター・セレクター。 VOR1とADF1を切り替えます。
- 右下の水滴型のスイッチ…No.2ポインター・セレクター。 VOR2とADF2を切り替えるスイッチですが、ADF2は無効です。
PMDG737NGXの付属マニュアル「Tutorial-2.pdf」には、『No.1、No.2の両ポインター・セレクターを「ADF」に切り替える』と書いてあるのですが、このチュートリアルではVORのままにしておきます。理由は、PMDG737NGXはシングルADFなので、ADF-2は動作していないからです。試しにNo.2セレクターを「ADF」に切り替えると、オレンジ色のワーニング・フラグが表示されます。「Tutorial-2.pdf」でもADF-2のチューニング操作は実施していませんので、上記の切替指示はちょっと意味不明です。
次にペデスタルの確認を進めていきます。
スピードブレーキレバーが、「DOWN DETENT」のポジションにあることを確認します。

キャプテン側のフォワード・パネルにある、「SPEED BRAKE ARMED」ライト、「SPEED BRAKE DO NOT ARM」ライトが消灯していることを確認します。

ファースト・オフィサー側のフォワード・パネルにある、「SPEEDBRAKES EXTENDED」ライトが消灯していることを確認します。

リバース・スラスト・レバーが「DOWN STOWED」ポジションにあることを確認します。一番下に押し込まれていればOKです。

メイン・スラスト・レバーが「CLOSED」であることを確認します。(「F1」キーをPUSHして、フル・バックに戻します)
フラップレバーとインジケーターが「UP」であることを確認します。


パーキング・ブレーキ・レバーを引いて、パーキング・ブレーキをセットします。ライトが点灯することを確認します。

現在、航空機のタイヤには「チョーク」がセットされている状態です。

FMCを操作して、チョークを外します。
【MENU】→【FS ACTIONS】→【GROUND CONNECTIONS】→【LSK 1L】をPUSHして、「WHEEL CHOCKS」を「REMOVED」にします。

チョークが外れました。

FMCの画面は「TAKEOFF REF」の1ページ目に戻しておいてください。
エンジンスタートレバーが「CUT OFF」(DOWNポジション)にあることを確認します。

フラップレバーの下にあるスタビライザー・トリム・カットアウト・スイッチが「NORMAL」ポジションにあることを確認します。(スイッチにはガードがされており、ガードを外すとCUT OUTできます。)

次に、HGSの設定を行います。
左側の窓枠にある隠しスポットをクリックして、HGSを下げます。

これからセットするのは、離陸後、引き返すことになった場合の着陸用データです。RW34Lのデータをセットしておきます。HGSのコントローラーはペデスタルにありますので、【Shift】 + 【4】でペデスタルを表示してください。
【RWY】ボタンをPUSHして、RW34Lの長さである「9843」(フィート)を入力します。

再度【RWY】ボタンをPUSHして、RW34Lのフィールドレベル「18」(フィート)を入力します。

【ENTER】キーをPUSHします。

GS(グライドスロープ)に「-3.00」度がセットされていることを確認します。

MODEが「PRI」になっていることを確認します。「PRI」モードは、PFD/NDと同様、HGSの表示はフライト・ディレクターによって制御されるモードです。その他に「AIII」モード、「IMC」モード、「VMC」モードの選択があり、下ではSTANDBYに「IMC」モードが設定されています。それぞれのモードの解説は割愛します。

タキンシグに備え、【CLR】ボタンをPUSHして、HGSの表示を消します。

「PREFLIGHT CHECKLIST」を実行します。
Oxygen : Tested, 100%
Navigation transfer and display switches : NORMAL, AUTO
Window heat : ON
Pressurization mode selector : AUTO
Flight instruments : Heading , Altimeter
Parking brake : Set
Engine start levers : CUTOFF
以上で「キャプテンのプレフライト・フロー」は完了です。