このページでは、FMCの初期設定を実施します。
FMCは「フライト・マネジメント・コンピュータ」の略で、フライト全体を統括する「FMS(フライト・マネジメント・システム)」に含まれるコンピュータ・システムのことです。
【Shift】 + 【3】で、FMCのCDUを表示させます。
IDENT
「IDENT」ページが見れていますか?
もし「IDENT」ページが見れていない場合は、【MENU】 → 【FMC】の順にボタンをPUSHすると、「IDENT」ページが表示されます。それでも表示されない場合は、【MENU】 → 【FMC】 → 【INDEX】 → 【IDENT】で表示されます。

「IDENT」ページには、航空機のモデル、エンジン定格等の情報が表示されています。
ちょっと確認していきましょう。
MODEL:737-800WL
航空機は「B737-800WL」、B737-800のウィングレット付きです。
ENG RATING:26K
エンジンの定格は26Kです。
B737-800には、24K、26K、27Kの3種類のエンジンが採用されており、26Kは一番多いタイプです。具体的には、26Kは、CFMインターナショナルの「CFM56-7B26」という形式のエンジンです。
「26K」は推力を表しています。
NAV DATA:AIRAC-1108
FMCに登録されているナビゲーションデータは、「AIRAC-1108」です。
航空路変更等の運航上重要な情報は、「AIRAC」という世界的に統一した方式で更新されています。
右側に有効期間が表示されています。この例だと、「AIRAC-1108」の有効期間は「2011年1月28日~8月24日」です。
このバージョンのPMDG737NGXの「AIRAC」は、完全に有効期限切れとなっていて、上図の「IDENT」ページにも、「NAV DATA OUT OF DATE」というメッセージが表示されています。
とりあえず、AIRACの有効期限は考えないでおきましょう。
【CLR】キーをPUSHしてください。「NAV DATA OUT OF DATE」のメッセージは消えます。
POS INIT
FMCに航空機の現在位置の設定を行います。
FMC CDUの「LSK 6R」をPUSHして、「POS INIT」ページを表示します。

「POS INIT」ページが表示されました。

LSK 5Lに表示されている、現在日時を確認してください。上の例では、「2352.5z 12/06」と表示されており、12月6日の23:52(世界標準時)となっています。
FMC CDUのキーボードから、羽田空港のICAOコードである「RJTT」を入力します。キーボードから入力した文字は、下図のように、画面の一番下に表示されます。この表示領域のことを、「スクラッチパッド」と呼びます。もし、入力を間違えたら、【CLR】キーをPUSHすると、一文字消えます。

LSK 2LをPUSHします。すると、スクラッチパッドに表示されていた「RJTT」が、LSK 2Lの位置に移動します。これで、「REF AIRPORT」に、現在の空港である羽田空港がセットされます。

同時に、「LSK 2R」の位置に、緯度・経度の座標情報が表示されました。これは羽田空港の中央の座標です。

現在、画面には、「SET IRS POS」というメッセージが表示され、その下に四角い箱が並んでいます。

これから、IRSに現在の正確なポジション(緯度・経度)を設定します。フライト事前準備でIRSのアラインを実施しましたが、IRSはアラインが済んでも、現在の緯度・経度が求まったわけではありません。これから実施するのは「アラインが済んだIRSに、初期位置をセットする」という作業になります。
さきほど、「REF AIRPORT」に「RJTT」を入力したことで、羽田空港中央の緯度・経度がLSK 2Rにセットされましたが、もっと正確なポジションをIRSにセットしましょう。その方法には次の3つがあります。
- 駐機しているゲート番号(現在はSPOT65)を、LSK 3Lに入力する。
- エアポート・チャートを参照して、ゲート65の緯度・経度を手動で入力する。
- GPSのポジション情報を利用する。
今回は、上記の中で一番正確な「GPSのポジション情報を利用する」方法で、IRSの初期ポジションをセットします。
【NEXT PAGE】ボタンをPUSHします。

「POS REF」ページが表示されます。この画面に、2台のGPS(GPS L, GPS R)のポジションが表示されています。同じ座標が表示されていることを確認してください。

LSK 4L(GPS L)か、LSK5L(GPS R)のどちらかをPUSHします。GPSポジションがスクラッチパッドにコピーされます。

【PREV PAGE】ボタンをPUSHします。

「POS INIT」ページに戻ります。スクラッチパッドには、GPSポジションが表示されたままになっています。

LSK 4RをPUSHします。スクラッチパッドに表示されていたポジションが、IRSにセットされます。セットされると同時に、PFDとNDの表示が変わるのを目にすることができるでしょう。

↓

もし、スクラッチパッドに「DUAL FMC OP RESTORED」と表示されていたら、【CLR】キーをPUSHして消去してください。このメッセージは、FMCがバッテリーが動作しているとき、バッテリーから地上電源に切り替えた場合に表示されます。
FMCの初期設定は以上です。
次のページでは、FMCにDEPARTUREルートの設定を行います。