このページでは、PMDG737NGXでRJTT – RJOOを飛行するための燃料計画を行います。代替空港は、RJGGです。
PMDG737NGXで飛行に必要な燃料の計算方法には、簡単に搭載燃料を計算することができる「簡単な燃料計画」と、より実機のオペレーションに近い「詳細な燃料計画」の2種類の計算方法があり、このページでも、その両方を解説します。もし、燃料計算方法にあまり興味が無いのであれば、最初に説明する「簡単な燃料計画」で計算した量を搭載すればOKです。「詳細な燃料計画」を行うと、実際のフライトで搭載される燃料の量にかなり近い量が計算できます。
簡単な燃料計画
簡単な燃料計算では、次の要領で搭載燃料を計算します。
- 飛行距離(ノーティカルマイル。以下「nm」と表記します)を調べます。
- 100nm毎に、2,200(lbs)が必要として計算します。
- 予備燃料として、5,500(lbs)を追加します。
飛行距離は、FMCで確認できます。
FMCの【PROG】ボタンをPUSHしてください。

「PMDG738 PROGRESS」画面が表示されます。「PMDG738」は、FMC ルート設定(1)で設定した、「フライトナンバー」ですね。

この画面の「RJOO」の右側、「DTG」の下に「262」という数字が見えています。これが、RJTT→RJOOの、離陸から着陸までの飛行距離を示していて「262nm」となります。「DTG」は、「Distance-to-go」の略です。
FMCに入力したルートで飛行した場合、RJTT→RJOOの飛行距離は「262nm」であることが分かりました。「簡単な燃料計画」では、「100nm毎に2,200(lbs)」として必要な燃料を計算しますので、
2.62 × 2,200 = 5,764(lbs)
上記に予備燃料として「5,500lbs」を追加するので、
5,764 + 5,500 = 11,264(lbs)
上記で「簡単な燃料計画」で計算する場合の搭載燃料が計算できました。この方法で計算した搭載燃料は概算値ですので、RJOOに着陸できず、遠い代替空港に飛行しなければならなくなった場合は足らなくなる可能性があります。
※PMDG737NGXへの燃料搭載方法は後で説明します。
詳細な燃料計画
詳細な燃料計画では、FMCに表示される数値を元に、ちょっと細かく計算をしていきます。
PMDG737NGXのFMCは、例えば『上昇時は巡航時や降下時よりも多く燃料を消費する』といった、実機のエンジン諸元に基づいた計算を行っています。そのため、簡易的に燃料計算をしてくれるウェブサイトやフリーソフトよりもリアルに計算することができ、「詳細な燃料計画」で計算した搭載量は、実機の場合と近い値になります。
「詳細な燃料計画」では、目的空港である「RJOO」まで飛行する「メインルート」の部分と、「RJOO」から代替空港である「RJGG」に飛行する「代替ルート」の部分に分けて、燃料を計算します。
メインルートの燃料計算
「RJOO」まで飛行する「メインルート」部分の燃料としては、
- Trip Fuel
- Contingency Fuel
- Taxi Fuel
- Extra Fuel
上記をそれぞれ計算し、合計します。
①TRIP FUEL
「簡単な燃料計画」の所で解説している、FMCの「PROGRESS」ページを表示してください。

上のLSK 5Rの位置に「45.8」と表示されています。これは、現在搭載されている燃料の合計です。
1000単位で表示されているので「lbs」に換算すると、「45.8 × 1000 = 45,800(lbs)」です。(ほとんど満タンです!)
ちなみに、上部NDエンジン表示の右下に表示されている燃料搭載量を合計してみると、

「28,330 + 8,610 + 8,630 = 45,570(lbs)」となり、上記の「FMCで表示されている値」とピッタリ一致しているわけではありませんが、これは特に問題ではありません。
次に、FMCの、LSK 4Rに表示されている数字を確認してください。
上のキャプチャーの例では「41.0」と表示されています。これは、FMCに入力したフライトプラン通り飛行した場合、RJOOに着陸した時に予想される燃料の残量です。『約41,000(lbs)の燃料が残っているであろう』ということですね。
現在の搭載燃料から残存予想燃料を引くと、今から着陸まで使用する燃料が分かりますね。
今から着陸までに使用するであろう燃料 = 45,800 – 41,000 = 4,800(lbs)
この「4,800(lbs)」を、Trip Fuelを計算する基礎数値とし、「フラップとギアを下げた場合に余計にかかる燃料」と「着陸をやり直した場合にかかる燃料」を加えて、「Trip Fuel」とします。
フラップとギアを下げた場合に余計にかかる燃料
フラップとギアを下げた場合、1分あたり、132(lbs)が余計にかかります。 その時間を5分として計算します。
132 × 5 = 660(lbs)
着陸をやり直した場合にかかる燃料
標準的な量として、286(lbs)を加算します。 これで「Trip Fule」は、以下の通りとなります。
TRIP FUEL = 4,800 + 660 + 286 = 5,746 lbs
②CONTINGENCY FUEL
Contingency Fuelは、ATCによる誘導がされた場合や、最適なフライトレベルとは別の高度がアサインされた場合のための燃料です。エアラインでは、Contingency Fuelとして、Trip Fuelの5%を加算するよう、法律で求められています。
Contingency Fuelの計算をします。Trip Fuelの5%ですので、
CONTINGENCY FUEL = 5,746 × 0.05 = 287 lbs
③TAXI FUEL
TAXI FUELは、APUの消費燃料とTAXINGにかかる燃料で、次の通り計算します。
APUの消費燃料
APUは、1分あたり4(lbs)の燃料を消費します。標準的な量として30分APUを使用した場合の量を搭載します。
4 × 30 = 120(lbs)
TAXINGにかかる燃料
PMDG737NGXでは、2エンジンでタキシングした場合、1分あたり27(lbs)の燃料を消費します。標準的な量として10分タキシングする場合の量を搭載します。
27 × 10 = 270(lbs)
上記を合計して、TAXI FUELとします。
TAXI FUEL = 120 + 270 = 390 lbs
④EXTRA FUEL
EXTRA FUELは、そのフライトの飛行環境により、キャプテンであるあなたの決定で搭載する燃料で、FMCのデータから求めることはできません。
PMDG737NGXの付属マニュアル「Tutorial-2.pdf」では「インスブルック空港」の着陸の難しさを想定して、次のようにEXTRA FUELを計算しています。
【EXTRA FUELの設定について】
ワーストケースを想定します。
フライトプランでは「RW26 LOC/DME East Approach」を想定していますが、ATCから「RW08へのサークリック・アプローチ」を指示されるかもしれません。サークリックアプローチ用に、1000(lbs)を追加します。
インスブルック空港への着陸はチャレンジングで、着陸のやり直しが発生する可能性は結構あります。その場合、急上昇を行い、サークリックアプローチを実施します。 そのために、573(lbs)を加えます。
また、インスブルック空港の天候が悪く、ホールディングをしなければならなくなった時のために、30分のホールディング用燃料を追加します。ホールディング中は1分あたり84(lbs)使いますので(対地1,500フィートでホールディングした場合)、84 × 30 = 2520(lbs)を追加します。
上記を合計して「4,093 lbs」をEXTRA FUELとします。
今回飛行する、RJTT – RJOOではどうしましょうか?
今回のチュートリアルでは管制を受けずに飛行しますので、基本フライトプラン通りに飛行しますから、EXTRA FUELはそれほど必要ではないと思われますが、とりあえず、同じ「4,093(lbs)」をExtra Fuelとしてしまいましょう。
これで、メインルート用の搭載燃料計算に必要な値が揃いました。
メインルート用に搭載する燃料 = 5,746 + 287 + 390 + 4,093 = 10,516 lbs
代替ルートの燃料計算
「RJOO」から代替空港の「RJGG」まで飛行する「代替ルート」部分の燃料としては、
- Trip Fuel
- Contingency Fuel
- Holding Fuel
上記をそれぞれ計算し、合計します。
①TRIP FUEL
最初に、代替空港をFMCにセットします。FMCで以下の操作をして、「ALTERNATE DESTS」ページを表示させてください。
- 【INIT REF】ボタンをPUSH
- 【INDEX】(LSK 6L)をPUSH
- 【ALTN DEST】(LSK 3R)をPUSH

「RJGG」を、LSK 1Lの位置に入力してください。

「RJGG」を入力すると、上のキャプチャーような画面になります。
「VIA」のところに「D」と表示されているのは、「Direct」の意味です。「DTG」のところに「152」と表示されていますが、これは、現在位置からRJGGまでの距離(nm)になります。
「LSK 1R」をPUSHしてください。2ページ目に移り、以下のような画面になります。

LSK 5Lの位置に「MISSED APP」と表示されています。それをPUSHしてください。
RJOO – RJGGのフライトレベルを設定します。
今回は、FL150とします。
LSK 1Rの位置が「TRIP ALT」です。「15000」を入力し、LSK 1Rにセットしてください。

上の画面に表示されている「FUEL 40.1」が、RJGGでの残存予想燃料です。RJOOでの残存予想燃料から、40.1を引いた値を、代替空港までのTrip Fuleとします。
RJOOでの残像予想燃料は、41,000(lbs)ですから、以下のようになります。
代替空港までのTRIP FUEL = 41000 – 40100 = 900 lbs
②CONTINGENCY FUEL
メインルートと同様、TRIP FUELの5%をCONTINGENCY FUELとします。
代替空港までのCONTINGENCY FUEL = 900 × 0.05 = 45 lbs
③HOLDING FUEL
RJOOでのホールディングと同様、対地1,500フィートで30分間ホールディングに必要な、2520(lbs)を追加します。
これで代替空港までの搭載燃料計算に必要な値が揃いました。
代替空港までの搭載燃料 = 900 + 45 + 2520 = 3,465 lbs
合計を求める
メインルート用と代替ルート用の搭載燃料を合計し、今回のフライトのために搭載する燃料とします。
10,516 + 3,465 = 13,981(lbs)
100(lbs)単位で切り上げを行った「14,000 lbs」を搭載します。
PMDG737NGXに燃料を搭載する方法
求めた搭載燃料を、PMDG737NGXに搭載します。
FMCで、以下の操作をしてください。
- 【MENU】ボタンをPUSH
- 【FS ACTIONS】(LSK 5R)をPUSH
- 【FUEL】(LSK 1L)をPUSH
- 【TOTAL LBS】(LSK 1L)に、搭載する燃料の量を入力
(※「詳細な燃料計画」で実施したなら「14000」を入力)

上のキャプチャーように、PMDG737NGXに燃料が搭載されました。左右のタンクに7,000(lbs)ずつ搭載され、センター・タンクは空です。満タンに対して約30.4%の搭載量になりました。
FMCの【INIT REF】ボタンをPUSHしてください。

右上に表示されている「TRIP/CRZ ALT」が、FMC パフォーマンス・データ設定を行った時は「FL259」でしたが、搭載燃料の量が変わったことにより(軽くなった)、「FL323」にレベルアップしました。
RESERVESの調整
FMC パフォーマンス・データ設定で、「RESERVES」に「5.0」(5,000 lbs)を設定しましたが、ここで正確な値をセットします。
正確な「RESERVES」値は、『代替ルートの「TRIP FUEL + HOLD FUEL」を、100の位で繰り上げて、1000で割った値』です。
900 + 2520 = 3,420(lbs)
繰り上げを行って、3,500(lbs)
1000で割って、3.5(lbs)
上記の計算で求まった「3.5」をRESERVESにセットします(「簡単な燃料計画」の場合は「5.5」)。

もし、飛行中にFMCに「USING RSV FUEL」というメッセージが表示されたら、残燃料が「RESERVES」に設定した値を下回ったことを意味します(今回の例では、残燃料が3,500 lbsを下回った時に表示されます)。つまり、予備燃料を使い始めてしまった状況です。
その場合、RJGGにダイバードするか、RJOOにおいて「緊急事態」を宣言する必要があります。どちらかというとダイバードした方が望ましいです。「緊急事態」を宣言すると、当局にいろいろと説明をする必要が生じますから。
燃料計画の最後に、FMCの「PERF INIT」ページの、「PLAN/FUEL」(LSK 2L)について説明します。
この部分は、飛行パフォーマンスの試算をする場合に利用されます。「PLAN」の値を変えることで、違う燃料量を搭載した場合のシミュレーションができます(違う燃料量を搭載したら、最適なフライトレベルが変わる等)。
このチュートリアルでは、既に必要な燃料の計算が済んでいますので、この部分は使用しません。
以上で「燃料計画」は完了です。
次のページでは「離陸パフォーマンス設定」を行います。