このページでは、PMDG737NGXの付属マニュアル「Tutorial-2.pdf」の「PRELIMINARY PREFLIGHT」の部分を解説します。
電源投入手順を実施しましたので、現在、航空機は、地上設備から電気とエアーの供給を受けている状態です。
B737のナビゲーション・システムは、2台の慣性航法装置(IRS)から成り立っています。慣性航法装置は高精度のレーザージャイロで、航空機の運動を感知しやすいコックピット下の空間に設置されています。B737のフライト・マネジメント・コンピュータ(FMC)は、航空機の位置を決定するために、IRSからのデータを使用します。IRSからのデータは、航空機に搭載されているGPSレシーバーからのデータや、VOR/DMEからのデータによって補われます。フライト事前準備では、最初に2台のIRSのアライン作業を行います。IRSのアライン中は、航空機が完全な静止状態にあることがとても重要です。
では、IRSのアライン作業を行いましょう。【Shift】+【7】で、アッパーオーバーヘッドパネルを表示します。

2台のIRSのスイッチを、それぞれ「NAV」ポジションにセットします。このとき「ON DC」ライトが点灯→消灯するのを確認してください。そして「ALIGN」ライトが点灯することを確認してください。
ALIGNライトはしばらくすると点滅を開始します。これは、ジャイロのアラインが完了し、CDUにポジションが入力されていないことを意味しています。FMC CDUへの現在位置の入力は、もうちょっと後で実施します。

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IRSアラインには、実機の場合は10分かかるのですが、PMDG737NGXでは30秒で完了するようになっています。もし、実施と同様にシミュレーションしたい場合、CDUから以下の手順で設定が可能です。
CDUのメインメニューから、「PMDG SETUP」→「OPTIONS」→「SIMULATION」→「IRS OPTIONS」をPUSHします。

上のキャプチャーはPMDG737NGXデフォルトです。アラインに必要な時間の設定が「FAST(30 SEC)」になっています。一つ上の「REALISTIC」を選択すれば、実機と同様、アラインに10分かかるようになります。
様々なチェックを実施していきます。アッパーオーバーヘッドパネルにある、クルー用酸素圧力ゲージを確認します。正常範囲の数値は、737NGXのマニュアルには含まれていませんので、とりあえず、「問題なし」と考えることにします。

オイルの量をチェックします。スラストレバーの前にあるディスプレイを確認してください。下の例では、左側の第一エンジンが「88%」、右側の第二エンジンが「99%」となっています。もし、「RF」という表示が出ていたら、充填が必要です。第一・第二エンジンで、オイルの量に違いがあるのは通常のことなので、問題ありません。

油圧の液量をチェックします。表示を切り替えるため、上側のディスプレイの上にある、「MFD」の「SYS」ボタンをPUSHします。

そうすると、下側のディスプレイの表示が切り替わり、油圧の液量をチェックすることができます。下の例では、油圧A系統は「92%」、B系統は「95%」と表示されています。もし、「RF」と表示されていたら、充填が必要です。

先ほどの、「MFD」の「ENG」ボタンをPUSHして、エンジンの表示に戻します。

実機では「メンテナンス記録」を確認して、この航空機特有の故障を確認しますが、PMDG737NGXではメンテナンス記録は実装されていませんので、スキップします。また、PMDG737NGX付属マニュアル「Tutorial-2.pdf」では、ここで「消火器」と「脱出用斧」が搭載されているか確認することが書いてありますが、ここでは画像は省略します。もし、キャプテンシートに座っているなら、振り返れば「消火器」が見えるでしょう。「脱出用斧」は、ファースト・オフィサー席から振り返ると確認できます。また、コックピットドアの側には、脱出用ロープなどのアイテムが保管されているクローゼットがありますが、見ることはできません。
アッパーオーバーヘッドパネルにある、「PSEU」と「GPS」ライトが消灯していることを確認します。「PSEU」は、「Proximity Switch Electronic Unit」の略で、フラップ、スポイラー、ドア、などの位置あるいは状態、離陸しようとしている時のコンフィグレーションやギヤ位置の警告ライトです。
(※ここからの確認作業は、全てアッパーオーバーヘッドパネル上の確認になります。)

「SERVICE INTERPHON」スイッチが「OFF」になっていることを確認します。

「REVERSER 1, 2」ライトが消灯していること、2つの「EEC」スイッチが「ON」になっており、カバーでガードされていることを確認します。

「REVERSER」ライトは、エンジンのリバーサー(逆噴射)に関係するライトです。12秒以上点灯し続ける場合、逆噴射機構に何等かの不調が生じています。その場合「MASTER CAUTION」ライトも点灯するでしょう。
「EEC」スイッチは、「Electronic Engine Control」スイッチです。「EEC」には、以下の機能があります。
- エンジンがフレームアウトした際、自動的にイグニションを「ON」にする。
- エンジンスタートの際、ホットスタートやウェットスタートを検出すると、自動的にイグニションを「OFF」にする。
エンジンのホットスタートとは、エンジンスタート時に排気温度が異常に高くなる異常のことで、燃料が通常より多くエンジンに送り込まれた時に生じます。ウェットスタートとは、逆に排気温度が予定の通り上昇しない異常スタートです。
「PASS OXY」(乗客用酸素)スイッチのガードがクローズされていることと、「PASS OXY ON」ライトが消灯していることを確認します。

「PASS OXY」スイッチのガードがクローズされていると、スイッチは「NORMAL」の位置にあります。客室の高度が14,000フィートを超えるか(つまり客室内が異常減圧した場合)、または、このスイッチを「ON」にすると、客室の酸素マスクが降ります。
予備のギヤ・ライトが、緑色に点灯していることを確認します。

「FLIGHT RECORDER」(フライトレコーダー)スイッチのガードが閉じられていることを確認します。ガードが閉じられていると、スイッチは「NORMAL」の位置にあります。

以上で「PRELIMINARY PREFLIGHT」の手順は完了です。